2016年12月19日月曜日


高教組定通部とゆきとどいた教育をすすめる佐賀県連絡会の共催による「県立高校定時制・通信制進学説明会」が1218日(土)佐賀市立図書館でおこなわれ、生徒や保護者、教員、NPO職員など約40名が参加しました。映像を用いた学校紹介と、生徒・卒業生による「定通しゃべり場」では、生徒が語る生の声が参加者の心を揺さぶりました。

 最初の話題は、定時制・通信制に入学したきっかけ。「全日制を1年で退学して定時制に入学した」「姉も定時制。自分も行くものだと思っていた」「不登校で引きこもっていたが、高卒の資格は必要だと思ったから」。学校生活の思い出は、「中学では勉強を全くしていなかったので、高校ではひたすら勉強した」「部活動で全国大会に出場したこと」「修学旅行の行先を自分たちで決めること。もめたりしたけど楽しかった」。入学して自分が変わったと感じることは、「人前で話すことは苦手だったが、生徒会の応援演説をやった」「視野が広くなって前向きな気持ちになれた」「通信制は15歳から70歳と年齢の幅が広く、その人たちと関わりで価値観が広がった」「バイトをすることで金銭感覚が身についた」。学ぶ中で大変だったことは、「仕事と勉強の両立。学校をさぼったこともあったが、先生がはげましてくれた」「定時と通信の併修で、テストが連続するときは大変だった」「120%頑張ろうとして、体調をくずしてしまうことがあった」「大学進学を希望していたが、勉強を続けるために気持ちを維持することが難しかった」。これからの夢については、「ホテル業界で働き、英語を使ったコミュニケーションをやりたい」「不登校の体験をしたので、生きづらさを感じている人のサポートがしたい」「金融関係の仕事につきたい」「バイトの体験から、県外の就職が決まった。いつか佐賀に戻って、誰かの役に立ちたい」。最後のひとことメッセージでは、「2年前にこの説明会で定通の話を聞いて、いま自分が説明する立場になった。この説明会は進路を悩んでいる人の背中をおしてくれると思う」「何度か学校を辞めようと思ったが、周りの人の支えで頑張れた」「どの道にいっても他人がうらやましく思ったりするだろうが、自分なりの考えで、この道で良かったと思えるようになった」と発言しました。

2016年12月2日金曜日


 ゆきとどいた教育をすすめる佐賀県連絡会は1129日(火)、中倉政義佐賀県議会議長に対して「35人学級の前進、教育費の無償化、教育条件の改善を!すべての子どもたちにゆきとどいた教育を求める請願」をおこないました。東島浩幸世話人代表が請願文書を読み上げ、議長に手渡しました。また、この秋から集めた署名用紙4445筆を提出しました。

 議長との懇談では、「教職員の多忙化は深刻だ。早期退職や病休者が出ると、補充する先生が見つからない」「35人学級がすすまないのは、予算の問題なのか、それとも根本的に反対しているのか。小中学校の35人学級を早期に実現してほしい」「県立高校の学習用パソコンの全員購入を改めて、備品扱いによる活用をすすめてほしい」と要望しました。

 中倉議長は、「国に対して毎年教育予算の充実を訴えている。秋田県や福井県の教員がとてつもなく残業をしていると聞いている。学力1位というがそういうことでいいのか疑問だ。先生が足りないところはなんとかしなければと思う」という認識を示しつつも、「実際上ほとんどの学級で35人学級になっているのではないか?」「学習用パソコンは一台20万円近くする機材を5万円で買えるので良かったと受け止めてもらっている。使っている人の8割が、効果があると答えていると思うが」「小規模の学校だと大人数の高校に進学してなじめないことがある」と発言。あらためて参加者から改めて35人学級を制度として実施することの意義や、学習用パソコンの備品化の必要性を、関連資料を用いて訴えました。

 県議会に提出するにあたり、県議会の県民ネットワーク(徳光、野田、江口、藤崎議員)、日本共産党(武藤、井上議員)、一真の会(内川議員)に紹介議員になっていただきました。国に向けての署名用紙は、来年2月に国会に提出する予定で、1122日に地元国会議員の事務所を訪問して要請をおこないました。129日(金)に東京で全国集約集会がおこなわれます。

 

 
 

2016年10月18日火曜日

連絡会「世話人会議」を開催しました

安倍「教育再生」の問題点を再認識
連絡会「世話人会議」を開催しました(10月17日)

 ゆきとどいた教育をすすめる佐賀県連絡会(世話人代表・東島浩幸弁護士)は10月17日(月)、高教組会議室で世話人会議をおこない、構成団体から11名が参加しました。
 冒頭、教育をめぐる情勢として「安倍『教育再生』政策の危険性と教育無償化の展望」について学習。安倍政権による「教育再生」の骨格や、それによる深刻な教育問題について、資料をもとに意見交換をおこないました。「教育基本法が変えられたことが、今の改悪につながっている」「教育改革というが、金をかけずに何かをしようとしているのではないか」「鳥栖、神埼、嬉野では教育政策として別々の理由づけで、夏休みが短縮されている。子どもの権利条約に示されている『余暇を享受する権利』を改めてとらえなおす必要がある」といった意見が出されました。

『教育全国署名』を全力で取り組もう!
 35人以下学級の実現、給付制奨学金の確立、特別支援学級の過密・過大の解消などを訴える「教育全国署名」について、情勢を改めて学び、運動の意義を確認しました。昨年度までの27年間で4億4280万筆を集約している運動です。昨年2月の国会(衆議院予算委員会)で、安倍首相は「35人学級の実現に向けて努力していきたい」と発言をしています。また、先の参議院選挙では、ほとんどの政党が「給付制奨学金」創設を公約としました。首相の「35人学級実現」の発言を引き出したことや、奨学金の世論を高める運動に、教育全国署名が大きな役割を果たしてきました。地方議会での採択運動とあわせて、地元選出の国会議員に紹介議員になってもらう運動も重要になっています。教育全国署名は、11月25日までに事務局へ届けてください。
 佐賀県のICT教育に関する特異な問題として、県立高校の生徒全員がタブレットを強制的に買わされています。一昨年度の2015年2月に、連絡会は「学習用パソコンの強制購入の見直しを求める要請書」を県知事・県教育長宛に提出をしていますが、この間に明らかになってきた問題点や疑問点を出し合い、今年中に再度の要請書を提出することにしました。
 次回は、連絡会「事務局会議」を11月15日(火)13:30より高教組会議室でおこないます。同日16:00より、佐賀西友前で今年最後の署名行動をおこないます。署名行動にぜひご協力をお願いします。
(ゆきとどいた教育ニュース 11号)

2016年9月20日火曜日

自己肯定感は愛によって支えられている


ゆきとどいた教育をすすめる佐賀県連絡会(世話人代表、東島浩幸弁護士)が主催する教育講演会が917()、佐賀市ほほえみ館で行われ、保護者や教員など70人が参加。「自分が自分であって大丈夫 自己肯定感をはぐくむ」と題し、臨床心理士の高垣忠一郎さんが講演しました。

高垣さんは自己肯定感について理解を深めるため、参加者とともに「ぞうさん」をうたいました。「長い鼻」「母さんが好きなのよ」の歌詞にある、自分の特徴、母への愛に自己肯定感を込めます。「私が私であっていいんだと支えているものは愛。こんなだめな僕でも愛してくれているという安心感から生まれる」というところから始まりました。

不登校などの悩みを抱える子どもに接してきた経験から、「今の子どもは辛いことを親に話さないが、それは親に心配をかけるからだ。逆に、親の期待に応えて喜ばせてあげたいと思っている。自分を責めることを止め、自分が自分であって大丈夫だという気持ちになるよう、ダメな部分を見せてもそれを受け止めてあげられるようになることが大切だ」と語りました。

また、「子どもに対して比べグセのついた目で見ると、優劣のついた部分しか見えなくなり、丸ごと我が子を見失ってしまう」と親への注意を促しました。全国各地の「親の会」活動にも関わる高垣さんは、親が抱える苦しい気持ちも出しあい、気持ちを楽にして、こんな自分でもいいんだと受け止めあう共感原理の活動を紹介し、佐賀県でも活動が広がることに期待をこめました。

講演後は参加者を交えた語り合いをおこないました。「子どもについ小言を言ってしまう」と悩む想いを語る母親に対して、高垣さんは「親から早く~しなさいと言われてきた子は指示待ち人間になってしまう。思春期は揺れながら心の中で葛藤している。揺れる間を与えるのも大切」と答えました。個別相談を希望する方も相次ぎ、「自己肯定感は愛によって支えられはぐくまれていることを、心にとめておきたいと思いました」と感想用紙に寄せてくれた参加者もおられました。
 

2016年9月8日木曜日

9月17日は教育講演会をおこないます

子育て・教育講演会2016
「自分が自分であって大丈夫 ~自己肯定感をはぐくむ~」
 
日時 9月17日(土) 開場13:30 講演14:00~16:15
場所 ほほえみ館 4階 視聴覚室
(佐賀市兵庫町藤木1006-1 佐賀駅より徒歩15分)
資料代 300円
託児あります(9月13日まで申込日を延長しました)
 

2016年9月5日月曜日

教育委員会に要請行動をおこないました


ゆきとどいた教育をすすめる佐賀県連絡会は、国の責任による「35人以下学級の前進」「高校無償化と高校生給付制奨学金の確立」「大学生への給付制奨学金創設」「『特別支援学校の設置基準』策定」「給食費の無償化」を求める要請書をもとに、佐賀市教育員会と小城市教育委員会に懇談をおこないました。

佐賀市教育員会には826日(金)に訪問し、東島正明教育長が対応。東島氏は「35人学級の実現のために国に対して毎年強く要望をしており、文科省も同じ考え。しかし財務省が根拠を出せと抵抗しており、これからも粘り強く要求していかなければ。市は教職員の補助として指導員を配置している。義務教育の一定水準を国が維持することが重要だ」と要請に賛同の意を示しました。障害児学校については、「現在の数や位置では足りない。佐賀市の南部に欲しいが、設置基準がないと実現が遠い。送迎など親の負担は大きいのでニーズに合わせて通いやすい学校や教室があることが望ましい」と語り、給食の無償化については「無償化するとすればいくら必要になるか試算をしたが、実現は厳しい。給食費が払えないからと引け目を感じるようなことがないよう、救う手立ては積極的におこなっていきたい。給食費が払えない家庭は、補助の情報を知りえていないことがあり、福祉と連携して対応している」と説明。要請内容は教育委員にも知らせて議論の対象にしたいと語りました。

小城市教育委員会には829日(月)に訪問。今村統嘉教育長をはじめ、南里正勝教育部長、山口俊幸教育総務課長、本村正信学校教育課長が対応しました。今村教育長は、「この要請には賛同するところが多い。教育は未来への先行投資として、こういう願いをもっている。OECDの中でも日本は教育費の割合が低い。なぜ政府はこのことをわかってくれないのか。海外援助はするけれども、もっと教育にお金をかけてほしい。高学歴でも就職が厳しい状況だ。貧困問題は真剣に対処しなければ」と述べ、給食費の無償化については私見と前置きをしたうえで、就学援助があるので給食費は払ってもらうという考えを示しました。小城市は今年度から中学3年生まで通院費の無料化を実施しており、就労支援も福祉部門と連携して、子ども支援と結びつきをはかっています。また、今村教育長は、教師の仕事量を減らして子どもに直接触れ合う時間を増やすことが大事で、教員の仕事を支援するためにICTに力をいれていることを強調しました。

2016年8月18日木曜日

8月17日、連絡会会議

「ゆきとどいた教育をすすめる佐賀県連絡会」の8月連絡会会議を行いました。

前回は会議の後、そのまま教育全国署名のスタート街宣署名活動を行いました。
今回は9月17日(土)の教育講演会に向けて、いくらか具体的な調整(たとえば託児の手配)や、「必要とする人へこの講演会がある事を周知するにはどうするか」という点を主に話し合いました。

また、教育全国署名についても「知ってもらう」ために、9月~11月は会議と合わせて街宣活動をすることを確認しました。

現在の教育問題について、資料を基に「学び」の時間をとり、関連して時事的な佐賀の教育問題、目立つところではICT利活用教育と「教育と行政」について意見を出し合いました。
前回も頭を悩ませたところであり「ゆきとどいた教育をすすめる佐賀県連絡会」として、どのように意思統一していくか要請していくか、悩みや乖離を確かに感じる一方で、なかなかストンと腑に落ちてくれず、わずかに進んで継続課題となりました。

(記事:馬場﨑)

2016年6月27日月曜日

ゆきとどいた教育をすすめる佐賀県連絡会が9月17日(土)に佐賀市で予定している高垣忠一郎さん(臨床心理士)の講演会が、6月25日(土)に佐世保市内でおこなわれました。不登校の子どもたちの居場所づくり活動をおこなう「フリースペースふきのとう」が主催する「子どもサミット2016~不登校を通して思うこと」での基調講演です。講演の後は、不登校を経験した青年が登場したシンポジウム、翌日はテーマ別の交流会がおこなわれました。25日の行事に参加してきました。


【講演要旨】演題の「子どもたちのさけびが『聴けますか』」は重要な意味を持つ。不登校に悩んでいる子どもの叫びに耳を傾けているか。その声を聞き取ろうとするのが本物の大人の姿だが、なかなかそうなっていない。病気をなおすのは自然治癒力が働いてこそで、不登校も同じ。臨床心理士は本人の自己回復力を活性化するお手伝いをしている。
悲しさやしんどさを感じ続けている子ども、周囲に溶け込められない自分を責め続ける子どもがいる。人間関係を、敵か味方かで見る。自分をまるごと否定する。自分をいつくしむまなざしがなく、自分が感じていることよりも、自分がどう評価されているかを気にしている。
子どもを見るとき、大人には2つの目がある。人間として大事な力が育っているかをみる「厳しい評価の目」と、もう一つが「共感の優しい目」。この2つの目があることで、奥行きが見える。しかし、大人は厳しい評価の目でばかり子どもを見ていないか。点数や順位などは、ごく狭くて浅い評価の目でしかない。それは健やかな成長を願う目ではない。
1970年代半ばから学校に行けない子が急増した。競争教育や偏差値教育など、日本社会の大きな仕組みと密接に関係しながらすすんできている。40年間、不登校はいっこうに減らない。文科省の統計で12万人を超している。子どもたちは見えない地雷をいっぱい心に抱えて、学校で明るくふるまっている。いじめもその表れだ。子どもの心に地雷を埋めるような社会や教育を変えないといけない。
友達とのもみ合いの中で、自己中心性の殻をやぶっていくのが成長だが、自分の気持ちを言葉で表現する力を身につける経験が乏しい。そこで、親は大事な時には子どもと向き合い話を聞くことだ。その人の目線に立ってわかろうとする、相手を個人として尊重しようとすることが求められている。ひとりひとりが違うという認識が日本には乏しいのかもしれない。
この子にとっての最善の利益は、個人として尊重すること。かけがえのない人生の主人公として尊重し、どんなふうに感じているかを、振り返ってみては。真剣に振り返ることを不登校の問題は要求している。どんな気持ちで、何を感じているのか、理解しようとする大人でありたいと思う。大人と子どもの向き合い方を、もう一度振り返ってほしい。

2016年6月22日水曜日

声明 参議院選挙公示日に際して

声 明  参議院選挙公示日に際して
 
ゆきとどいた教育をすすめる佐賀県連絡会  代表 東島浩幸

     
  6月22日、参議院選挙が公示され、7月10日に投票がおこなわれる。憲法問題、経済問題、社会保障問題をはじめ、教育問題も重要課題である。私たちは、安倍政権の教育政策が何を狙っているのかを明らかにし、教育課題の解決と充実に向けて議論を起こしたい。

 安倍政権は、憲法改悪と一体に、教育を子どもたちの成長と発達を保障するものから政権の国家戦略にそった人材育成をめざすものにしようとして、安倍「教育再生」(「新3本の矢」の第2の矢「夢を紡ぐ子育て支援」の具体化)をすすめようとしている。小中一貫校の制度化、中高一貫校やスーパーグローバルハイスクール、大学の3つの類型化(地域・特色・世界)など、徹底した競争主義のもと、新たな格差を生み出す教育制度の複線化を持ち込もうとしている。また、「高等学校基礎学力テスト」「大学入学希望者評価テスト」を導入しようとしているが、その本質は、このテストによって、小学校から大学まで、教育をグローバル資本主義社会を勝ち抜くエリート人材の早期育成と、「戦争する国づくり」を担い、「世界で一番企業が活動しやすい国づくり」を支える人材づくりに変えてしまうものである。
 
 国や財界に都合のいい人材を育成するために、「道徳の教科化」などにより、子どもたちの内心までしばろうとし、教育内容への介入や教職員への統制を強めている。その一方で、35人学級の全学年での実施など、国がしなければならない教育条件整備の責務は投げ捨てる、ここに安倍「教育再生」の本質がある。いま、憲法、子どもの権利条約にもとづく、権利としての教育が踏みにじられようとしており、憲法改悪と一体にすすめられる安倍「教育再生」の本質を、私たちは保護者・国民の前に明らかにする必要がある。

 憲法と子どもの権利条約に立脚した教育を実現するために、親、子ども、教師、地域ができることは何かをともに考え、行動することを、多くの人に呼びかけたい。私たちは、「教育とは、子ども・若者一人ひとりの状況とニーズに応じた教育を通じて、子ども・若者の成長と発達を保障し、その現在と未来における幸せの礎を築くことを目的とする」という一点で一致できる人々の輪を広げるため、一層奮闘していく決意である。

2016年6月21日火曜日

ゆきとどいた教育ニュース 2016年度第2号(6月7日)

「主権者教育と憲法教育は車の両輪」
吉田俊介弁護士(佐賀中央法律事務所)インタビュー

Q 吉田さんの高校での主権者教育出前授業は、いきさつはどのようなものだったのですか?

A 今年になって県教委から弁護士会に依頼があり、弁護士会で法教育委員会委員長をしている私が対応することになりました。教師向けの研修会を通じて、高校から授業をおこなって欲しいと申し込みがあっています。法教育委員会は、全ての市民を対象に、「法の考え方の習得を通じてよりよい市民として主体的に行動する能力をはぐくむ」ことを目的としています。現在、弁護士の委員約20人が関わっています。

Q 出前授業はどのような形式ですか?

A 全校集会などで全生徒を対象としています。学校からは「体育館で全校生徒を相手に一コマでやってくれ」との注文が多いですが、普通のクラス授業としてやってこそ、感銘力が高いと考えます。12年生は全体でやるとしても、3年生はクラスごとに少人数授業でおこなうのが理想です。

Q 生徒にどのような力をつけたいと感じますか?

A 法(ルール)を作るとは、多様な意見をまとめて合意に至る、ということです。その際、理に従い、相手の意見を踏まえて利益調整を図る能力を養ってほしい。一方で、「多数決」で決まったことでも侵せない「領域」があり、何でも多数決で決められるわけではない。これが「憲法(法の支配・立憲主義)」であり、その考え方も車の両輪として学んでほしい。このどちらの力も養うことが「主権者教育」です。

Q 文科省は副教材を作成していますが、中身をどのように思われますか?

A 主権者教育は、新しい試みであり、県教委・現場の教員・弁護士会や選挙管理委員会などの外部の専門家などが、様々な観点から「生徒たちが主権者として行動していく能力を育む」ための授業を検討している最中です。文科省の副教材もそのための授業づくりの資料の一つであり、参考になるものです。ただ同資料中「合意形成に至る方法」の記述は充実していますが、もう一つの側面である「多数決でも決められない領域」としての「憲法の役割」については、記述が不足しています。主権者教育としては欠かすことのできない側面であり、この点を補っていく必要があると考えます。

Q 今後の出前授業における可能性はどのように感じていますか?

A 主権者教育以外でも、弁護士会では「ワークルール」「刑事模擬裁判体験」「いじめ予防授業」など、様々な出前授業を行うことができます。生徒・児童ひとりひとりが「主体的に」社会に関わっていくための能力を、これらを通じて養ってほしい。なお、PTAが申込の主体となるなど関わってくれたら学校も弁護士会も動きやすいと思います。

貴重なお話し、ありがとうございました。
 
今日は、連絡会の事務局会議。教育全国署名のとりくみ、教育講演会の準備など、議題は盛りだくさん。